企業の目的は外部にある

2021年10月01日

 信州の神無月はしっとりした雨降りで始まりました。みなさまいかがお過ごしでしょうか。日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。

 このブログでは、P.F.ドラッカーの著作を読んでいます。先月のブログで「利益は企業の目的ではない」という文章をご紹介しました。

 では、企業の目的とは何なのでしょうか? 

 ドラッカーの『マネジメント(上)』第6章の「企業とは何か」p73より引用します。

 企業とは何かを知るには、企業の目的から考えなければならない。企業の目的は、それぞれの企業の外にある。企業は社会の機関であり、その目的は社会にある。企業の目的の定義は一つしかない。それは顧客の創造である。

              『マネジメント(上)』 p73より引用


 「企業の目的は外にある」とはどういう意味でしょう?もしも企業の目的が企業の内部にあるのなら、自社だけが儲かればいいという考え方になってもおかしくありません。経営者は自社だけが良くなることを考え、特に、自分だけが得をすることを考え、社会やお客さまのことを考えなくなります。
 社員は内部が大事だと考えれば、お客さまよりも企業の内部にいる上司や社長を喜ばせるような行動をとるようになるでしょう。ですから、ドラッカーは企業の成果は外部にあると言ったのです。
 ドラッカーは、企業は社会の一機関であり、社会にとって有用な存在であると認められてようやく存在が許されているのだ、と言います。ですから、企業の目的は社会になくてはならない。それは顧客の創造である、といいます。

 「顧客の創造」とは何でしょうか?この言葉だけを見ると、営業回りや販売促進をしてお客さまを増やすことが企業の目的なのだろうか?と思ってしまいます。

 原書を見ると「顧客の創造」はto create a customerとなっています。日本語の翻訳文では分からなかったのですが、英語では顧客が単数形になっています。a customer つまり、たった一人のお客さまを創るというのです。

 原書をご紹介します。

 To know what a business is we have to start with its purpose. Its purpose must lie outside of the business itself. In fact, it must lie in society since business enterprise is an organ of society. There is only one valid definition of business purpose: to create a customer.

       "Management Tasks,Responsibilities,Practices" Peter.F.Drucker HarperCollins e-books


 この続きは来月検討してまいります。
 
 いつもご利用ありがとうございます。今月もよろしくお願いいたします。

 末筆ながら、コロナ禍の早々の終息とみなさまのご多幸、ご健勝を祈念しております。

  


 参考文献:
 『マネジメント(上)』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
 

"Management Tasks,Responsibilities,Practices" Peter.F.Drucker HarperCollins e-books

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