ドラッカーのイノベーション

2019年06月03日

 すがすがしい初夏の季節となりました。みなさまいかがお過ごしでしょうか。
 
 日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。

 先月の記事ではドラッカーのマーケティングについてご紹介しました。ドラッカーは企業が持つ二つの機能として、マーケティングとイノベーションをあげています。

 今月はイノベーションについてみてみましょう。

 
 マーケティングだけでは企業は成立しない。静的な経済の中では企業は存在しえない。企業人さえ存在しえない。静的な社会における企業人は、手数料収入を得るブローカーにすぎない。
 企業は、発展する経済においてのみ存在しうる。少なくとも変化が当然であり望ましいとされる経済においてのみ存在しうる。企業とは、成長、拡大、変化のための機関である。
 したがって、第二の起業家的機能がイノベーションである。すなわち、より優れ、より経済的な財やサービスを創造することである。企業は、単に経済的な財やサービスを供給するだけでは十分でない。より優れたものを創造し供給しなければならない。企業にとって、より大きなものに成長することは必ずしも必要ではない。しかし、常により優れたものに成長する必要はある。

              P.F.ドラッカー 『現代の経営[上]』 p50


 経済が動いているからこそイノベーションが必要なのですね。次のような具体的な例示があります。

 
 冷蔵庫を食物の凍結防止用としてエスキモーに売り込むことに成功した営業マンは、新しいプロセスを開発した者と同様、イノベーションの担い手である。食物を冷たくしておくためのものとして冷蔵庫を売ることは、市場を開拓したことになる。しかし、食品が冷えすぎないようにするためのものとして冷蔵庫を売ることは、製品を創造したことになる。もちろん技術的には、いずれも同じ製品である。しかし経済的には、後者はイノベーションである。

              P.F.ドラッカー 『現代の経営[上]』 p50-51


 マーケティングの機能があれば、今までと同じ営業を続けていくことはできます。しかし、やがて経済構造が変化したときには、ついていけなくなるでしょう。イノベーションには科学技術が必要だと思ってしまいますが、冷蔵庫の事例で分かるように、既存の知識でイノベーションを起こすことはできるのです。イノベーションは最も取り組みずらいことではありますが、企業を継続していくために必ず取り組んでいかなくてはならない重要な機能です。

 いつもご利用ありがとうございます。今月もどうぞよろしくお願いいたします。

  


 参考文献:
 『現代の経営[上]』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
 

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