突然やってくる危機

2017年11月01日

 肌寒い日が続きますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

 日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。
 
 さて、今年はヨーロッパや中国で自動車のEV化に関する戦略が次々と打ち出されました。日本にとって自動車製造業は大変重要な産業です。我が国の自動車メーカーの戦略は大丈夫なのだろうか、と少し心配になりました。外部環境の変化は突然発生し、企業の経営に大きな影響を及ぼします。
 
 突然やってくる危機について、ドラッカーは次のように述べています。

 最近よく聞く話として、つい昨日まで順風満帆だった大会社が、突然、問題と危機に直面し、低迷し挫折する。
 (中略)
 原因はマネジメントの方法が下手だからではない。マネジメントに失敗したためでもない。たいていは事業を正しく行っている。単に実を結びえないことを行っているにすぎない。その原因はなにか。
 それは、組織の設立とその後の経営に際して基礎とした前提が、現実に合わなくなったためである。組織の行動を規定し、何を行い、何を行わないかを決め、何を意味ある成果とするかを規定すべき前提が、時代遅れとなったためである。第一に、環境としての市場である。すなわち顧客や競争相手の価値観と行動である。第二に、自らの使命、目的である。第三が、自らの強みと弱みである。これらのものが、私が事業の定義とよぶものを構成する。

                   『P.F.ドラッカー 経営論集』 p154


 事業の定義が陳腐化し、実効性を失ったとき、企業は危機を迎えるのです。これを防ぐため、ドラッカーは二つの方策を示しています。
 
 第一の予防策は、私の言うところの体系的廃棄である。三年おきに、すべての製品、サービス、流通チャンネル、方針を根本的に見直すことである。
 (中略)
 第二の予防策は、外で起こっていること、とくにまだ顧客になっていない人たちについて知ることである。
 
               『P.F.ドラッカー 経営論集』 p166-167


 体系的廃棄も、ノンカスタマーに尋ねることも、いずれも難しい仕事ではありません。目標を決めて淡々と執行していくことです。

 われわれは組織を蘇生させようとするとき、魔法の力をもつ人を探す。だが、事業の定義を見直すには、ジンギスカンやダヴィンチが必要なわけではない。
 必要なのは天才ではない。勤勉さである。問題意識である。そもそもCEOとはそのための存在である。

               『P.F.ドラッカー 経営論集』 p172


 奇跡に頼っていては経営はできません。経営者はお金のまわっているときにこそ、勤勉に働き、秘められた問題点を見つけていくことが求められています。

 いつもご利用ありがとうございます。今月もよろしくお願いいたします。
 
 参考文献:
 『P.F.ドラッカー経営論集』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
 

  

 米津仁志 at 10:00  | ささやタイムズ記事

お知らせ
米津仁志
 ささや株式会社の社長のビジネス読書ブログです。
 
さらに詳しいプロフィールはこちらからご覧ください
ささや
長野県上田市 法事・法要・会席料理 信州上田ささや
< 2024年04月 >
S M T W T F S
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
インフォメーション
長野県・信州ブログコミュニティサイトナガブロ
ログイン

ホームページ制作 長野市 松本市-Web8